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2010年11月1日 星期一

「6次産業」農家、収入増へ自ら生産・加工・販売

「6次産業」農家、収入増へ自ら生産・加工・販売



写真:ネギの汚れた部分をはぎ取る。すべてが手作業だ=京都市伏見区のこと京都ネギの汚れた部分をはぎ取る。すべてが手作業だ=京都市伏見区のこと京都


 第1次産業(農林業)、2次産業(製造業)、3次産業(小売業)の性格をあわせ持つ「6次産業」が注目されている。農家が育てた作物を農協などに売るだ けでなく、加工や消費者への販売まで自らやって利益を上げる手法だ。頭打ちの収入を少しでも伸ばそうと取り組む人が広がっており、加工を手がける生産者は この5年で4割増えた。

 京都市の農家が設立した農業生産法人「こと京都」(山田敏之社長)は、九条ねぎに、使いやすく刻むカットの手間を加えて成長した。12月には新工場を稼働させる。これまでは業務用だけだったが、スーパーなど消費者向けにも販路を広げる予定だ。

 カットネギを始めたのは2000年。山田氏はその6年前にアパレルの営業マンから実家の農業を継いだが、休みなく働いても収入は年400万円程度。売り上げ増を狙って作付けを九条ねぎに絞り、さらにカットに目を付けた。

 東京のラーメン店へ飛び込み営業をすると、ラーメンブームにも後押しされて売り上げが急増した。昨年の売上高はネギだけで2億7千万円。将来の目標は10億円だ。

 滋賀県甲賀市の農業法人「甲賀もち工房」は、複数の農家が集まって加工、販売を手がける。94年に活動を始め、06年に法人化した。契約農家から市場の 5割以上高く仕入れたもち米を使い、正月用の餅のほか草餅や米粉のめんを作って直売施設で売る。「売り上げは、もち米をそのまま売る場合の2倍以上」(広 報担当者)という。

 大阪府枚方市には、全国に広がる農家レストランの先駆け的存在である農園「杉・五兵衛」がある。約5ヘクタールの敷地に従業員ら約50人が働き、敷地で とれた作物を使った料理を提供する。「市場に出荷するだけの農家だったら、ここまで人は雇えなかった」と野島五兵衛社長は話す。



 農林水産省によると、08年度の農業の国内生産額は9兆8千億円。一方、流通や外食までを加えた農業・食品関連産業の国内生産額は99兆2300億円。 国内には輸入農産物も流通しているので単純比較はできないが、市場規模は農業生産の10倍以上ある。転売の過程で付加価値がつくことが大きな理由の一つ だ。

 6次産業は、その付加価値を農家自らがつける試みだ。農林水産省が5年ごとに行う農林業センサスによると、加工を手がける農業者や農業集団の数は、10 年は5年前の約43%増の3万4千となった。近畿農政局は「生産量の拡大より、『質』の向上を目指す人が増えた」と分析する。

 ただ、課題も多い。農家が加工、販売まですれば在庫をかかえるリスクも抱え込む。甲賀もち工房では2年前、おつりの手間を省こうと草餅の価格を数十円上 げて切りのいい額にしたところ、ぱたりと売れなくなった。担当者は「値上げ理由がしっかり説明できないと消費者に受け入れてもらえない」と話す。

 また、商品への苦情も直接、受けることになる。販売まで手がけるある農業者は「私たちが大したことないと感じても消費者はとんでもないと考えることも多い。細心の注意が必要」と話す。(田幸香純)

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 〈6次産業〉 東京大の今村奈良臣・名誉教授が提唱した造語。農林業(1次産業)と製造業(2次産業)、小売業(3次産業)を組み合わせた新しい経営形 態を指す。農業を続けながら利益を上げ、それぞれの土地の資源を有効に活用することで、地域活性化にもつながると期待されている。

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